「ありがとう」が心に与える影響

 

先日、県外の塾講師の友人と話した。

友人は自分の生徒がお礼を言わないことで、少々腹を立てていた。

その生徒が読書をしたいと言ったので、友人は自分の愛読書の中から1冊選んで渡したのだそうだ。

そのとき、その生徒は「はい」としか言わなかったらしい。

友人は、「お礼も言えないやつには、2度と親切にするものか!」と声を荒げて話した。

それを聞いた私は、怒りを抑えるため、「その生徒はたまたま言えなかったんじゃないか?まあ、許してやれよ。次は言うんじゃないか?」とその生徒を擁護する形で言葉をかけた。

すると、友人は冷静になって、「もし次も言わなかったら、もう最低限のことしかしないぞ。」と、ひとまずは許してやったみたいだ。

 

このことから、「ありがとう」と言わないことが、どれだけ相手の心に負の影響を与えるのかが学べる。人によるだろうが、感謝の意を伝えるべきときは、伝えるのが正解だ。

 

ここで1つ注意点がある。

それは、感謝の意を伝えることは、単に「ありがとう」の言葉を発することではないことだ。

以前、上辺だけの「ありがとう」を言う生徒に、私は正直うんざりしていた。

何でもかんでも「ありがとう」と言うのだ。

1クラスに8人、1人5回言えば、私は40回聞かなければならなかった。

上辺だけの言葉を聞くのに、疲れ果てたことを今でも覚えている。

贅沢な悩みだろうが、実際そういう状況になれば、嫌になる人は多いと思う。

 

では、どうすると良かったのか。

それは、いざというときだけ発することだ。

あとは軽く会釈でいいし、スルーでもいいときもある。

肝心な場面での「ありがとう」に値打ちがあるのだ。

 

最後に、私が生徒の立場ならどう伝えるのかを書く。

「ありがとう」と終わらせるだけでは、伝えたいことが伝わらないと思うので、「~をありがとう」と言う。さらに状況に応じて、2文目を言う。

例えば、先生の愛読書を借りたとき、

「お気に入りの本を貸してくれてありがとうございます。汚さないように読みますね。」とか、「わざわざ自分のためにありがとうございます。これを機に、国語力がつくよう頑張ります。」など。

このように言うと、相手の心が温まると思う。

次の機会も、親切にしてもらえるかもしれない。

もう1つプラスの要因として考えられることは、自分の心も温まってくることだ。

両者とも幸せになれる言葉、それが「ありがとう」である。